パソコンを使ったり自宅で仕事をしている人にとっては自宅が仕事場になりますし、たとえ誰も雇わなくても事務所として部屋を借りることもあるでしょう。
仕事に関連するものはほぼ経費になるので部屋を借りるときの初期費用もその1つ。
僕も1年に1回引っ越すほどの引っ越し難民なので今後のためにも自宅兼事務所や引っ越した時の初期費用の仕訳をまとめてみました!
部屋を借りたときにかかる初期費用の勘定科目
敷金や礼金、仲介手数料はもちろん、物件によってはよくわからないルームサポート費とか自治会費とかありますし、鍵交換費用なんてのもかかります。
事務所として借りているなら100%経費にできますし、自宅兼事務所として借りる場合でも按分して経費に落とし込むことができます。
【初期費用】
項目 | 勘定科目 |
---|---|
前家賃(家賃) | 地代家賃 |
敷金 | 敷金・差入保証金 |
ルームクリーニング費 | 支払手数料・修繕費 |
礼金(20万未満) | 支払手数料・地代家賃 |
礼金(20万以上) | 長期前払費用 |
仲介手数料 | 支払手数料 |
鍵交換代 | 修繕費 |
保証会社利用料 | 支払手数料 |
事務手数料 | 支払手数料 |
ルームサポート系 | 修繕費 |
自治会費 | 雑費 |
ちょっと面倒なのが敷金ですね。金額によって勘定科目が異なりますし、敷金は返金される可能性があるので、そうなると【資産】扱いになり、退去する際にまた記入する必要があります。
他は特に難しそうな項目はないと思います。勘定科目は基本的にこんな感じですが、複数あるのは人によって仕訳が違うからです。例え違っても統一性があれば問題ないので自分が合っていると思った項目で処理しましょう。
前家賃
前家賃は通常の家賃と同じように地代家賃として処理します。
■前家賃が10万円だった
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
地代家賃 | 100,000円 | 普通預金(現金) | 100,000円 |
やよいだとこんな感じ。
敷金
敷金は基本的に部屋のクリーニング代として充てられ、余ったお金は返金される仕組みです。
勘定科目は【敷金】や【差入保証金】が使われますが、退去時に実際に使用された金額は修繕費、返金されたお金は預金として振替の必要がでてきます。ちょっと面倒。
■9月1日に敷金10万円を支払った
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
敷金(差入保証金) | 100,000円 | 普通預金(現金) | 100,000円 |
■退去時に3万円が返金された(7万円は使われたってこと)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
修繕費 | 70,000円 | 敷金(差入保証金) | 100,000円 |
預金 | 30,000円 |
僕が使っているやよいの青色申告オンラインだと敷金や差入保証金という科目がなくて「自分で追加しなきゃかな」と思っていましたが、どうやら【預託金】という科目が敷金に該当するようです。
これを使って仕訳するとこんな感じ。
退去時に修繕費の記入、返金されたお金の記入をすれば完了。
⇒事務所を賃借した場合の敷金・礼金の仕訳、勘定科目、消費税について!
参考にさせていただいたサイトです。
ルームクリーニング費用
最近の物件は敷金を取らない代わりに固定額(32,400円など)をルームクリーニング費用という名目で回収しています。また、契約上「敷引き」となっている場合も同様の扱いとなります。
礼金と同じように返金されないお金なので処理方法も簡単です。
■ルームクリーニング費用が32,400円だった
これだけ。
礼金(20万未満)
礼金が20万円未満なら一括計上できます。
■入居時に礼金10万円を支払った
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
地代家賃 | 100,000円 | 普通預金(現金) | 100,000円 |
これだけ。勘定科目は地代家賃でもいいですし、支払手数料としてもいいそうです。
礼金(20万以上)
20万円以上かかる場合は一度に経費計上ができないので償却する必要があるみたいです。
科目は【長期前払費用】というやつで、原則としては5年以上の契約なら5年かけて償却、それ未満なら契約年数に応じて償却するようですが、賃貸契約ならたいてい2年契約なので2年かけて償却していけばOK。
■9月1日に入居(礼金が24万円だった場合)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
長期前払費用 | 50,000円 | 普通預金(現金) | 50,000円 |
で、期末(個人事業主なら12月31日)に今年経費にできる分を改めて記入します。
契約が2年の場合は礼金を24カ月で割って今年分(9月~12月の4か月分)を算出します。
24万円÷24カ月×4か月分=4万円が今年経費計上できる分です。わかりやすく礼金を24万円としていますが、実際は割ったりすれば小数点が出るのでちょっと面倒です。
■期末
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
前払費用 | 40,000円 | 長期前払費用 | 40,000円 |
これで「今年4万円経費にしますよー」って処理になります。
償却できるまで毎年の期末(決算)時に計算して処理していきます。
こちらのサイトにも書かれている通り処理すれば大丈夫でしょう。
やよいソフトで記入する場合は償却費の計算より記入します。
やよいの場合は長期前払費用という項目ではなく【権利金】が同じ役目を果たしてくれます。(まじで3時間ぐらい調べた)
数量とかよくわからん項目は空白で問題なし。あとは金額といつ支払ったか入力するだけで自動計算してくれます。
仲介手数料
支払手数料として処理するだけなので簡単です。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支払手数料 | 100,000円 | 普通預金(現金) | 100,000円 |
火災保険料
火災保険料は1年で契約している場合と2年で契約している場合で異なります。
1年の場合は勘定科目は【損害保険料】として一括計上できますが、2年の場合は敷金のように【長期前払費用】となるためちょっとだけややこしくなります。
【1年契約(12,000円だった場合)】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
損害保険料 | 12,000円 | 普通預金(現金) | 12,000円 |
【2年契約(12,000円だった場合)】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
長期前払費用 | 12,000円 | 普通預金(現金) | 12,000円 |
これまた期末時に今年分の火災保険料を月で割って計算しなければなりません。
9月に入居した場合は12,000円÷24カ月×4か月=2,000円が今年の経費
■期末
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
前払費用 | 2,000円 | 長期前払費用 | 2,000円 |
■来年の期末
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
前払費用 | 6,000円 | 長期前払費用 | 6,000円 |
■再来年
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
前払費用 | 4,000円 | 長期前払費用 | 4,000円 |
これで合計12,000円を2年間で償却したことになります。
火災保険料は途中で解約する返金されるので、そしたら敷金と同じように記入すればOKです。
鍵交換代
修繕費として処理します。
■鍵交換費用として15,000円かかった場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
修繕費 | 15,000円 | 普通預金(現金) | 15,000円 |
保証会社利用料・事務手数料
保証会社を利用した時に発生する料金は特別な処理が必要にも思えますが、これも仲介手数料と同じように支払手数料のくくりで処理して問題ありません。
■保証会社に5万円支払った
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支払手数料 | 50,000円 | 普通預金(現金) | 50,000円 |
ルームサポート費
24時間安心トラブルサポートみたいなものはすべて修繕費として処理できます。
■月額1,080円ルームサポート費としてかかる場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
修繕費 | 1,080円 | 普通預金(現金) | 1,080円 |
毎月かかっている場合は引き落とされるたびにこの仕訳を行います。
家賃にすでに含まれる場合はいくらがルームサポート費なのかわからないのですべて地代家賃の処理で問題ありません。
ちなみにこれは水道代込み物件とかも同じ考え方で大丈夫ですよ。料金がわかる場合は細かく処理した方がいいみたい。
自治会費
僕が借りた物件についていたものです。自治会費という名目じゃなくてもよくわからない名前でお金がかかる場合は雑費で処理します。
■自治会費として3,500円入居時にかかった場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
雑費 | 3,500円 | 普通預金(現金) | 3,500円 |
最初はどうやって処理すればいいのかわからなくてめちゃくちゃ調べましたが意外と簡単な処理ですね。
分譲賃貸とか謎の会費システムがあるので雑費としてちゃちゃっと処理してしまいましょう。
ちなみに雑費って何にも当てはまらないような時に使える科目ですが、この額が大きすぎると税務署からつつかれるって噂があります。
自宅兼事務所の場合の注意点
今回ご紹介した記入方法は事務所の場合です。これが自宅兼事務所になってくると使用割合に応じて按分しなければならないので会計ソフトを使わないと結構面倒。
会計ソフトならまとめて按分率を決めればいいだけなのでラクだなと感じました。
それと自宅兼事務所だと基本的にガス代と水道代は経費として認められないので注意。
ちなみに僕が自宅で仕事をしていた時は按分率を30%に抑えていました。一度決めた按分率は翌年とかに変更するとつつかれるので慎重に。
何か間違いなどありましたらご指摘いただけると幸いです。
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